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住宅を建てる際に、親の土地に家を建てるケースは多いです。自分で土地を用意しなくていいため、資金に余裕が生まれます。
しかし、どのような方法で土地を利用するかにより、譲与税や相続税などの税金の発生が異なります。税金の支払いで苦労しないためには、事前に把握しておくことが大切です。
そこで今回は、親の土地に家を建てる5つのパターンと税金について解説します。親の土地に家を建てるメリットやデメリットも紹介するので、ぜひ最後までご覧ください。
親の土地に家を建てるには、土地を譲り受ける・格安で購入する・借りるなどの方法があります。ここでは、親の土地に家を建てる5つのパターンと、税金の関係を解説します。
親から土地の代金を請求されずに、無償で土地を譲り受けて家を建てるパターンです。土地の評価額にもよりますが、基本的には親から子への贈与となり、子どもは相続税を納める義務があります。
贈与税は以下のように計算します。
・贈与税額=(譲り受けた土地の評価額-110万円)×贈与税率(10%~55%)
例えば、親から700万円の土地を譲り受けた場合は、特別贈与となり税率が20%なので、贈与税額は88万円となります。
親から著しく安い金額で土地を購入すると、土地の評価額との差額は贈与とみなされて、贈与税が発生します。例えば、時価2,500万円の土地を1,000万円で購入すると、子どもは1,500万円の得をしています。得をした部分は親から贈与を受けたと判断され、贈与税が課税されます。
著しく安い金額とは、時価の80%未満とされています。ただし、みなし贈与は個別の事案ごとに判断されるため、税理士などに相談するのがおすすめです。
親から土地を譲渡されるのではなく、地代や権利金などを支払わず、無償で土地を借りるパターンです。土地は親の名義のままで、建物は子どもの名義となります。
このパターンの場合は、土地を譲り受けていないので、贈与税は発生しません。ただし、土地が子どもの名義になるわけではなく、親が亡くなった際には相続税が発生します。
相続税は、「3,000万円+600万円×法定相続人数」以上の財産がある場合に納税する必要があります。
固定資産税は、土地の名義人である親に支払い義務があります。子どもが親の代わりに固定資産税を支払っても問題ありません。
親が地代や権利金などを受け取り、子どもが住宅を建てるパターンです。子どもは土地を譲り受けていないので、贈与税は発生しません。親が亡くなったときには、相続税が発生します。ただし、子どもに借地権が発生するため、相続時に土地の評価額が安くなり、納める相続税も低くなります。
また、親が子どもから受け取った地代や権利金は、親の所得となるため、所得税と住民税が発生します。所得の金額にもよりますが、確定申告をする必要があります。確定申告を忘れると、追徴課税などのペナルティが発生します。無申告の状態が続くと、いつかは発覚するため必ず確定申告をしましょう。
親の土地に、子どもだけが住む家ではなく、親と同居する二世帯住宅を建てるパターンです。二世帯住宅の場合は、親と子どもの持ち分を設定して、共有名義にする必要があります。親か子どものどちらかの名義にすると、所有していない世帯への贈与とみなされ、贈与税が発生します。
ただし、共有名義にすると相続が発生した際に、子どもに兄弟がいるとトラブルに発展する可能性があります。事前に、相続時の二世帯住宅の扱いを話し合っておくといいでしょう。
土地の相続は、相続税を軽減できる「小規模宅地等の特例」を使うのが一般的です。小規模宅地の特例とは、被相続人が居住していた土地が一定の条件を満たすと、課税標準額の50~80%を軽減できる制度です。
小規模宅地等の特例を使うには、親と生計を一にしている必要があります。二世帯住宅の名義を1階が親・2階が子どもとすると、生計が別とみなされるケースがあります。必ず二世帯住宅を共有名義としましょう。
親の土地を活用して家を建てると、土地の資金を住宅に使える、住宅ローンの審査が有利になるなどのメリットがあります。ここでは、親の土地の家を建てるメリットを紹介します。
親の土地に家を建てると、基本的には無償や格安で土地を使えるため、浮いた資金を住宅の建築に回せます。家を建てる際の費用のバランスは、住宅6:土地4ほどが最適とされています。
4,000万円の家を建てる場合、住宅2,400万円、土地1,600万円となる計算です。土地を購入する必要がなければ、4,000万円すべてを住宅に使えるため、設備のグレードや間取りなどを希望通りに建てられるでしょう。
さらに、住宅建築後に必要となるカーテンやエアコン・家具などの購入費用の心配も不要になります。
土地を購入しない場合、家を建てる際に必要な資金の総額が減ります。住宅ローンは申し込む人の収入や資産状態などをもとに、融資できる金額が決定します。借り入れる金額が少なければ、収入が低くても審査に通りやすくなります。
一般的な住宅ローンの借り入れ金額は、年収の5倍ほどです。年収400万円の場合は、借入額が2,000万円となります。土地の金額を800万円とすると、借入額を1200万円に減らせます。年収の3倍程度に減らせるため、審査に通る可能性が高くなるでしょう。
親の土地に家を建てる場合は、親も敷地内に住んでいるケースが多いです。親が近くに住んでいると、事故や災害が発生した際に、すぐに安否確認できます。また、親が年老いて満足に動けなくなっても、身の回りの世話ができます。
その他にも、共働き世帯であれば子どもの学校への送り迎えなどを頼むなど、育児や教育を手伝ってもらえます。
親の土地に家を建てると、相続トラブルが発生する場合があります。ここでは、親の土地に家を建てるデメリットを紹介します。
住宅ローンを借り入れる際には、一般的に土地と建物を担保にします。融資の担保になっている間は、土地の名義変更はできません。
また、子どもが何らかの理由により、住宅ローンを返済できなくなると、土地は競売に掛けられ親に迷惑がかかります。
親が連帯保証人になることを求められるケースもあります。子どもがローンを返済できなくなると、親が肩代わりして返済しなくてはなりません。
このようなお金の問題は、親子関係を壊してしまう可能性があります。返済計画を立てる時は、転職や出産・転勤なども考慮して、必ず返済できるようにしましょう。
不動産は簡単に分割ができないため、相続時にトラブルになりやすい財産です。自分の家が建っている土地を相続したい場合に、他の兄弟が現金化を望んでいるとします。このようなケースでは、自分が土地を相続する代わりに、兄弟に代償金を支払う方法があります。
兄弟はもともと望んでいたお金を得られるため、異論がでないことが多いですが、土地を相続する人は多額の現金を用意する必要があります。また、兄弟に支払うお金をいくらにするかで揉めることも多いです。
代償金を用意できないのであれば、共有名義にするか、土地を売却しなくてはいけません。共有名義とは、土地を複数人で所有する方法です。共有者全員の賛同を得られないと、売却や貸し出しができません。兄弟の意思が揃わずに、トラブルになるケースも多いです。
このように、土地は相続トラブルが多い財産です。親の土地に自分の家を建てることになったら、兄弟にしっかりと説明をしておきましょう。
土地を購入するときは、「景色の良い場所に住みたい」「静かなところで暮らしたい」など、さまざまな希望があります。自分の希望にあう場所を見つけるのも、土地探しの楽しさではないでしょうか。
しかし、親の土地に家を建てる場合は、すでに場所が決まっていて、自由に選べません。自分にとっては住み慣れた土地ですが、配偶者や子どもは別の場所に住みたいと思っているかもしれません。
後々に不満を残さないように、親の土地に家を建てるべきか、家族で意見を統一しましょう。
相続におけるトラブルを避けるには、遺言書と生前贈与が有効です。ここでは、親の土地に家を建てる際の相続対策について解説します。
親の土地に家を建てた人がスムーズに相続できるように、遺言書で土地の相続を指定します。「兄弟の仲は良いから遺言書は必要ない」と思うかもしれませんが、お金が絡むと簡単に関係が崩れるケースは多いです。相続に余計な力を使わないためにも、遺言書を用意してスムーズに進むようにするのがおすすめです。
遺言書には3つの種類があり、それぞれ特徴があります。
・自筆証書遺言
自筆で作成して、自分で保管する遺言書。財産目録以外は自筆で作成する必要があり、パソコンで作成すると向こうになる。気軽に作成できるが、遺言書の存在を伝えていないと、気が付かれないまま相続が進む危険性がある。
・公正証書遺言
公証役場で、公証人に内容を伝えながら遺言書を作成する。遺言書は公証役場で保管され、家庭裁判所による検認は不要。公正証書遺言書を作成するには、数万円~十数万円の費用がかかる。
・秘密証書遺言
秘密証書遺言書とは、内容を公証人にも秘密にしたまま、公証人に存在だけを証明してもらう遺言書。公証人が内容を把握していないため、相続発生時には家庭裁判所の検認が必要となる。
遺言書には、本人が直筆で記載する・日付を明記するなどのルールがあります。正しく記載されていない遺言書は無効になってしまいます。遺言書の作成に不安がある方は、公証役場で作成するのがおすすめです。
土地を生前贈与して名義を変更すれば、確実に土地を子どもに引き継ぐことができます。名義変更をしていない状態で相続が発生すると、誰が土地を相続するかで揉める可能性があります。
生前贈与はトラブル回避には有効な手段ですが、贈与税が発生します。親から子どもに土地を贈与した場合の税率は以下の通りです。
基礎控除後の課税価格 | 税率 | 控除額 |
200万円以下 | 10% | - |
200万円超400万円以下 | 15% | 10万円 |
400万円超600万円以下 | 20% | 30万円 |
600万円超1,000万円以下 | 30% | 90万円 |
1,000万円超1,500万円以下 | 40% | 190万円 |
1,500万円超3,000万円以下 | 45% | 265万円 |
3,000万円超4,500万円以下 | 50% | 415万円 |
4,500万円超 | 55% | 640万円 |
参考:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」
親が死亡する前3年以内におこなわれた生前贈与は、相続税の課税対象となります。2024年1月1日からは、死亡前7年に変更されるので注意しましょう。
また、土地の贈与を受けた場合、相続税だけでなく不動産取得税や登録免許税も発生します。土地の登記は司法書士へ依頼するのが一般的で、登記に対する報酬を支払う必要もあるため、事前に必要な資金を準備しておきましょう。
親の土地に家を建てるには、土地を無償で譲り受ける・格安で購入する・無償もしくは有償で借りるなどのパターンがあります。それぞれのパターンで発生する税金を把握することが大切です。
親の家に土地を立てると、土地の購入資金を住宅の建築に回せて、設備や内装などにお金を使えます。理想の家を建てられる可能性が上がるでしょう。
ただし、ローンの支払いが滞ると、親に迷惑をかけてしまいます。また、相続時にトラブルに発展する可能性もあります。
相続時のトラブルを減らすには、遺言証書の作成や生前贈与をするのがおすすめです。トラブルが起きないように親の土地を活用して、快適な住まいを建築してください。
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