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モノの貸し借りを行う際の契約には大きく分けて、「使用貸借」と「賃貸借」があります。
賃貸借はアパートなどを借りる際によく使われるので知っている方が多いですが、使用貸借という言葉は初めて聞いた方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、使用貸借と賃貸借との違いや、使用貸借を解消できる条件や手続きについて解説します。
何かを貸し借りする場合、法律的に「使用貸借」と「賃貸借」の2つに分けられます。
ここでは、この2つの違いについて解説します。
民法でいうと、民法第593条が「使用貸借」で、民法第601条が「賃貸借」の条文となります。
貸主が借主に対して無償で目的物を貸して、借主が目的物を使用した後に返還する約束を、民法上では「使用貸借」といいます。
法律用語では少し理解しにくいので、身近な例に置き換えてみましょう。
あなた(貸主)が友人(借主)に、ゲームソフトを無償で貸し出したとしましょう。その場合が使用貸借です。
基本的には家族や友人など身近な人に対して貸し出すことが多いですが、赤の他人であっても無償であれば使用貸借となります。
土地でいうと、親や親戚の敷地(土地)に無償で家を建てるケースなどが使用貸借の状態にあたります。(詳しくは後述します。)
使用貸借とよく比較されるのが「賃貸借」です。
賃貸借とは「賃」という文字通り、貸主が借主から賃料を受け取って、何かを貸し出して、一定期間後に返還する契約です。
身近な例では、レンタカーやレンタルDVD・賃貸アパートなどがあります。最近では、家電や家具のレンタルサービスなどもあり、これらも賃貸借となります。
土地の賃貸借には、権利金が発生することも特徴の一つです。
権利金とは、土地の賃料(地代)とは別に、借地権に対して支払われる金銭です。敷金と違い、賃貸借契約が終了しても権利金は返還されません。
もともと、使用貸借は民法上の法律用語ですが、土地の貸し借りなどで頻繁に登場するため、不動産用語としても根付いています。
土地の貸し借りも、使用貸借と賃貸借に分けられます。
一般的に土地を借りる際は、不動産会社で条件の良い土地を見つけて、持ち主と契約を結び、毎月賃料を支払います。この場合は、賃料を支払っているので、賃貸借となります。
子どもが家を建てる際に、実家の余っている土地を無償で貸し出すのであれば、使用貸借です。
一般的に土地の使用貸借も、親しい人が借主となることがほとんどですが、親しいからといって油断せずに契約書を交わすことが大切です。
使用貸借は口約束でも契約が成立しますが、後々、言った言わないでトラブルになる事例が多数あります。
とくに相続時にトラブルとなることが多く、口約束だけでなく契約書を作成するとよいでしょう。
契約書で取り決める主な事項は、次の通りです。
・土地の使用方法
・返還時の原状回復について
・土地を貸し出す期間
・固定資産税など維持費用の負担 など
上記の取り決めはあくまでも一例です。ご自身の状況に合わせて項目を追加、削除する必要があります。
特に土地の使用方法を決めておかないと、駐車場などに利用するだろうと思っていたのに、いつの間にか建物が建っていた、という事態にもなりかねません。
建物が建ってしまうと、返還時は更地で返却するのか、更地の場合は解体費用を誰が支払うのかなど、取り決めを追加する必要が出てきます。
土地の使用貸借は、数年・数十年など長期間に渡ることがあります。子どもや親戚など親しい間柄であっても、時間が経過すると関係は変化します。
そのようなときに、トラブルにならないために、借主が自分の子どもであっても契約書を作成した方がいいでしょう。
ここでは、使用貸借と賃貸借の違いをイメージしやすいように、それぞれの具体例を紹介します。
子どもが家を建てる際に、親名義の土地を貸し出すケースは多くあります。
この場合、親が子どもから賃料(地代)を取るケースは少なく、無償で貸し出すので「使用貸借」となります。
賃料を支払うと賃貸借となり、賃料だけでなく権利金も支払う必要が出てきます。
実際には、子どもから権利金を受け取る親は少数のため、子どもは権利金の分だけ親から贈与を受けたと考えられ、贈与税を課せられる可能性もあります。
土地を借りている子どもの他に兄弟姉妹がいる場合は、親が亡くなり相続が発生すると、トラブルに発展する可能性があります。
親名義の上に自宅を建てた子どもは、当然自身の自宅が立っている部分の土地は自身で相続したいと考えます。しかし、実際は相続人全員で財産の相続を決める必要があり、自身の自宅が建っていても、使用貸借の場合、親名義の土地です。その場合、その土地も含め相続の対象となってきます。そのため、口約束でかつ使用貸借の状態の場合、トラブルに発展するケースが少なくありません。
土地の上に自宅が無ければ売却して現金で分配することもできますが、自宅が建っていると売却するのは難しいため、解決に時間がかかるでしょう。
契約書を交わさないで、不動産を貸す約束をした場合でも契約は成立します。
その場合も先ほど解説したのと同様に、賃料を受け取るかどうかで、使用貸借か賃貸借かが決まります。
口約束だけでも契約が成立することは、民法 第522条で定められています。
民法 第五百二十二条
第1項 契約は、契約の内容を示してその締結を申し入れる意思表示(以下「申込み」という。)に対して相手方が承諾をしたときに成立する。
第2項 契約の成立には、法令に特別の定めがある場合を除き、書面の作成その他の方式を具備することを要しない。
*引用:e-GOV 法令検索「民法」
このように、法令で特別に定められていない場合は、以下のような口頭での約束でも契約が成立します。
借主「あそこの土地を貸してください」
貸主「いいですよ。毎月1万円を払ってくださいね」
借主「了解しました」
賃貸借でも口頭で簡単に契約が結べてしまうため、後々トラブルにならないように注意する必要があります。
不動産の貸し借りの際は、トラブルを防ぐために、契約書を作成することが基本と考えておきましょう。
固定資産税とは、1月1日の時点で土地や戸建て・マンションなどの固定資産税を所有している方に発生する税金です。
固定資産税は不動産の名義人の元に納付書が届くため、貸主に支払い義務があります。
しかし、実際に土地を使用しているのは借主のため、借主が固定資産税を負担するケースが多いです。
借主が固定資産税と同等の金額を貸主に支払っている場合は、使用貸借とみなされます。過去の判例によると、貸主が金銭的な利益を得ているから賃貸借になると考えるかもしれませんが、過去の判例によると、その支払いは必要経費とみなされ、使用貸借となる事例が多いです。
固定資産税と同等の金銭授受があっても、賃貸借契約書の有無で、賃貸者と認められず、使用貸借とみなされるケース多々あるでしょう。
使用貸借と賃貸借の違いは賃料が発生するか否かにありますが、相場よりかなり安い金額を支払っていた場合は、家賃ではなく単なる謝礼とみなされ使用貸借と認められるケースがあります。
判例:昭和33年3月31日 最高裁判所の裁判例
ただし、いくらまでなら謝礼と認められるかの基準は示されていないため、借主と貸主の間柄や周囲の相場・その他の事項により判断が異なる可能性があります。
不動産を貸していると途中で事情が変わり、使用貸借契約を解消することもあります。ここでは、使用貸借を解消する方法や手順を解説します。
使用貸借の解消について、貸主側からみていきましょう。
まずは、契約書で期間が過ぎているか、使用及び収益の目的が達成しているかを確認します。
契約書がないのであれば、当初の口約束をした内容を思い出してみましょう。
その後、使用貸借を解消する条件が整っているのであれば、借主に契約解消する旨を伝えて、返還されるのを待ちます。
貸していた土地や不動産が返還されたら、破損などがないかを確認して、修理等が必要であれば契約書の取り決めに従いどちらかが費用を負担します。
もしも、契約解消の条件を満たしているのに借主が返還しない場合は、弁護士など第三者を入れて話し合うか、法廷で決着をつけることになります。
借主はいつでも使用貸借の契約を解消できるため、任意のタイミングで貸主に返還する旨を伝えます。
借主が建物を破損させてしまった場合は、原状回復義務があるので、返還前に修理しておきましょう。
期間や目的などの条件を満たしていない場合、基本的には貸主は借主に返還してもらうことはできません。
何らかの事情があり、どうしても早急に返還してほしい場合は、立ち退き料を提示することがあります。
立ち退き料とは、貸主の都合で退去してもらうため、その損害を補填するために支払うお金のことです。
使用貸借の場合の立ち退き料の相場はありませんが、一般的な立ち退きであれば、新しい住居に入居するための費用(敷金・礼金など)と引っ越し費用を支払うのが一般的です。
立ち退き料を提示しても断られてしまった場合、契約の期間や目的を達成するまで待つしかありません。
使用貸借を解消する条件は、民法 第597条で以下のように定められています。
民法 第五百九十七条
第1項 当事者が使用貸借の期間を定めたときは、使用貸借は、その期間が満了することによって終了する。
第2項 当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
第3項 使用貸借は、借主の死亡によって終了する。
*引用:e-GOV 法令検索「民法」
事前に契約書や口約束などで貸出期間を定めていれば、その期間が終了することにより使用貸借契約も終了して、土地が返還されます。
期間を定めていないのであれば、借主が目的を達成した時点で、土地が返還されます。
わかりやすい例えでいうと、イベントをしたいから土地を貸してほしいと言われた場合は、そのイベントが終了したら土地が返還されるという形です。
また、借主が死亡した場合にも、使用貸借契約が終了します。貸主が死亡してしまった場合は、相続人が地位を引き継ぎ、使用貸借契約は存続します。
民法597条の「期間満了」や「使用し収益が終了したケース」などに当てはまらない場合の契約終了を、民法598条で以下のように定めています。
民法 第五百九十八条
第1項 貸主は、前条第二項に規定する場合において、同項の目的に従い借主が使用及び収益をするのに足りる期間を経過したときは、契約の解除をすることができる。
第2項 当事者が使用貸借の期間並びに使用及び収益の目的を定めなかったときは、貸主は、いつでも契約の解除をすることができる。
第3項 借主は、いつでも契約の解除をすることができる。
*引用:e-GOV 法令検索「民法」
597条2項では、「使用及び収益を終えることによって終了する」と定められていますが、借主が「まだ目的を達成していない」と主張すると、いつまでも土地を返してもらえなくなります。
そのような場合に598条1項では、「借主が使用及び収益をするのに足りる期間が経過したとき」は、貸主が契約を解除することが認められます。
ただし、貸主が一方的に「すでに十分な期間が経過した」と主張しても借主が納得するケースは少なく、関係がこじれて話が進まなかったり、法廷闘争になることもあるため、注意が必要です。
また、事前に使用期間や目的を定めていなかった場合は、貸主はいつでも契約を解除できると598条2項で定められています。
第3項では、期間や目的の設定に関わらず、借主はいつでも契約を解除できると定めています。
使用貸借とは、無償でモノの貸し借りをする契約のことです。モノを貸し出す際に賃料をもらうと、賃貸借となります。
土地や建物などの不動産の場合、無償で貸し出すため子どもや親族など親しい間柄で契約を結ぶケースが大半です。
しかし、使用貸借はトラブルに発展する事例が多いため、事前に取り決めを行い、契約書を作成することが大切です。
善意で貸し出していたのに、借主が退去せずに法廷闘争にまで発展すると、エネルギーを消耗して日々の生活に対して影響を及ぼすことももあるでしょう。
借主が自分の子どもであっても、年月が経つにつれて関係は変わったり、ましてや相続ともなると親族間でのトラブルに発展しかねません。無用なトラブルを避けるためにも、必ず契約書を作成しましょう。
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